物理 / 熱力学
頻出解法パターン
パターン1: ボイル・シャルルの法則で変化前後を比べる問題
こんな問題で使う
同じ量の気体について、「変化前の状態」と「変化後の状態」が与えられ、圧力・体積・温度のうち1つを求めさせる問題で使います。「温度一定」「圧力一定」「体積一定」のいずれかの条件が明示されていることが多いパターンです。
解法の手順
- 何が一定に保たれているか(温度・圧力・体積のどれか)を確認する。
- 温度が絡む場合は、すべての温度を絶対温度($\mathrm{K}$)に変換する。
- 一定に保たれている量に応じて、ボイルの法則($p_1V_1=p_2V_2$)、シャルルの法則($V_1/T_1=V_2/T_2$)、またはどちらも一定でない場合はボイル・シャルルの法則($p_1V_1/T_1=p_2V_2/T_2$)を選ぶ。
- 既知の値を代入し、求めたい量について解く。
具体例
温度一定で、体積$2.0\ \mathrm{L}$・圧力$1.0\times10^{5}\ \mathrm{Pa}$の気体を体積$0.50\ \mathrm{L}$まで圧縮する。ボイルの法則より $1.0\times10^{5}\times2.0 = p_2\times0.50$、これを解いて $p_2=4.0\times10^{5}\ \mathrm{Pa}$。
パターン2: 状態方程式 $pV=nRT$ で未知の量を求める問題
こんな問題で使う
1つの状態について、$p$・$V$・$n$・$T$のうち3つが与えられ、残り1つを求める問題で使います。「変化前後を比べる」のではなく、「ある瞬間の状態」だけを扱う点がパターン1との違いです。
解法の手順
- 与えられている3つの量($p$・$V$・$n$・$T$のうち3つ)を確認する。
- 体積の単位が$\mathrm{L}$なら$\mathrm{m^3}$に($\times10^{-3}$)、温度が$\mathrm{℃}$なら$\mathrm{K}$に($+273$)、必ず変換する。
- $pV=nRT$を、求めたい量について解いた形に変形する。
- 数値を代入して計算する。気体定数と同じ$8.31$(または$8.3$)という数値が問題文中にあれば、約分できないか意識する。
具体例
$0.50\ \mathrm{mol}$の気体が体積$8.31\ \mathrm{L}=8.31\times10^{-3}\ \mathrm{m^3}$、温度$300\ \mathrm{K}$のとき、$p=\dfrac{nRT}{V}=\dfrac{0.50\times8.31\times300}{8.31\times10^{-3}}=1.5\times10^{5}\ \mathrm{Pa}$。
パターン3: 熱力学第一法則で符号に注意して解く問題
こんな問題で使う
「熱を吸収した/放出した」「仕事をした/された」という言葉とともに、$\Delta U$・$Q$・$W$のいずれかを求めさせる問題で使います。
解法の手順
- 問題文から、熱の出入りの向き(吸収か放出か)を読み取り、$Q$の符号を決める(吸収なら正、放出なら負)。
- 問題文から、気体が仕事をしたのかされたのかを読み取る。「外部にした仕事$W_{by}$」が分かっている場合は、「外部からされた仕事」$W=-W_{by}$に変換する。
- $\Delta U=Q+W$に、符号を確定させた値を代入する。
- 求めたい量について式を整理し、計算する。
具体例
気体が$50\ \mathrm{J}$の熱を吸収し、外部に$20\ \mathrm{J}$の仕事をした。$Q=+50$、$W=-20$なので、$\Delta U=50+(-20)=30\ \mathrm{J}$。
パターン4: 定積変化・定圧変化の仕事と熱量を求める問題
こんな問題で使う
「体積を一定に保って」「圧力を一定に保って」という言葉とともに、仕事・熱量・内部エネルギーの変化を求めさせる問題で使います。
解法の手順
- 定積変化か定圧変化かを確認する。
- 定積変化なら $W=0$、定圧変化なら $W_{by}=p\Delta V$(または $p\Delta V=nR\Delta T$)を使って仕事を求める。
- $\Delta U=\dfrac{3}{2}nR\Delta T$(単原子分子理想気体の場合)で内部エネルギーの変化を求める。この値は定積・定圧によらず、$\Delta T$だけで決まることに注意する。
- $Q=\Delta U+W_{by}$(または $\Delta U=Q+W$)を使って熱量を求める。
具体例
$1.0\ \mathrm{mol}$の単原子分子理想気体を定圧変化で$\Delta T=20\ \mathrm{K}$だけ加熱($R=8.3$)。$W_{by}=nR\Delta T=166\ \mathrm{J}$、$\Delta U=\dfrac{3}{2}\times166=249\ \mathrm{J}$、$Q=249+166=415\ \mathrm{J}$。
パターン5: p-V図から仕事や熱効率を求める問題
こんな問題で使う
圧力と体積の変化がp-V図(グラフ)で与えられ、1つの過程やサイクル全体での仕事、あるいは熱効率を求めさせる問題で使います。
解法の手順
- グラフから、各状態(角の点)での$p$と$V$の値を読み取る。
- 直線的な過程(定圧または定積)ごとに、仕事(定圧なら$p\Delta V$、定積なら$0$)を計算する。
- 各過程の$\Delta U$を$\dfrac{3}{2}\Delta(pV)$(単原子分子理想気体の場合)から求め、$Q=\Delta U+W_{by}$で各過程の熱量を求める。
- 熱量が正の過程を$Q_{in}$に、負の過程の大きさを$Q_{out}$に振り分けて合計する。
- 1周全体の仕事は$W=Q_{in}-Q_{out}$、熱効率は$e=W/Q_{in}$で求める(1周の$\Delta U$の合計が$0$になることで検算もできる)。
具体例
長方形のサイクルで$Q_{in}=2850\ \mathrm{J}$、$Q_{out}=2250\ \mathrm{J}$が求まったとき、$W=2850-2250=600\ \mathrm{J}$、$e=\dfrac{600}{2850}\approx21\%$。
パターン6: 断熱変化かどうかを見極めて内部エネルギーを求める問題
こんな問題で使う
「断熱的に」「熱の出入りなしに」「急激に(圧縮・膨張させた)」といった言葉とともに、内部エネルギーの変化や仕事、温度変化を求めさせる問題で使います。
解法の手順
- 問題文中の「断熱」「熱の出入りがない」「急激な変化」といったキーワードを見つけたら、$Q=0$と判断する。
- $\Delta U=Q+W=W$を使う。
- 気体が外部に仕事をした(膨張)なら$W$は負、外部から仕事をされた(圧縮)なら$W$は正、という符号を確認して代入する。
- 必要であれば、$\Delta U=\dfrac{3}{2}nR\Delta T$を使って温度変化$\Delta T$を求め、$\Delta U$の符号から温度が上がったか下がったかを判定する。
具体例
$1.0\ \mathrm{mol}$の単原子分子理想気体が断熱膨張し、外部に$124.5\ \mathrm{J}$の仕事をした($R=8.3$)。$W=-124.5\ \mathrm{J}$、$\Delta U=W=-124.5\ \mathrm{J}$、$\Delta T=\dfrac{\Delta U}{\frac{3}{2}nR}=\dfrac{-124.5}{12.45}=-10\ \mathrm{K}$(温度は$10\ \mathrm{K}$下がる)。