物理基礎 / 波
振幅・周期・波長・振動数と波の式
要点整理
前のトピックでは、波が「媒質の振動が次々と伝わっていく現象」であることを学びました。ここでは、その振動や波の伝わり方の大きさ・速さを数値で表すための4つの量を確認し、それらの間に成り立つ関係式を学びます。
振幅 $A$
媒質は、もともと静止していた位置(つり合いの位置)を中心にして、行ったり来たり振動します。このとき、つり合いの位置から最も大きくずれたときの変位の大きさを振幅といい、記号 $A$ で表すことが多いです。振幅が大きいほど、波は大きく(音であれば大きな音に)なります。
周期 $T$
媒質の1点に注目すると、その点は一定の時間ごとに、同じ動き(たとえば「一番上まで上がって、一番下まで下がって、元に戻る」という1往復)を繰り返します。この1回の振動にかかる時間を周期といい、記号 $T$ で表します。単位は秒[s]です。
波長 $\lambda$
波のある瞬間の形(スナップショット)を見たとき、山から次の山まで(あるいは谷から次の谷まで)の距離は、どこで測っても同じ長さになっています。この波1回分の長さを波長といい、ギリシャ文字の $\lambda$(ラムダ)で表します。単位はメートル[m]です。
波長は、「媒質が1回振動する(周期 $T$ の時間が経つ)間に、波が進む距離」と言い換えることもできます。これは後で式を作るときに重要な考え方になります。
振動数 $f$
媒質が1秒間に振動する回数を振動数(または周波数)といい、記号 $f$ で表します。単位はヘルツ[Hz]です。たとえば $f = 5\,\text{Hz}$ であれば、1秒間に5回振動する、という意味です。
振動数と周期の関係
周期 $T$ は「1回の振動にかかる時間」でした。もし $T = 0.5\,\text{s}$ であれば、1回の振動に0.5秒かかるので、1秒間には $1 \div 0.5 = 2$ 回振動できます。つまり振動数は $f = 2\,\text{Hz}$ です。
このように、振動数 $f$ は周期 $T$ の逆数になっています。式で書くと、
$f = \frac{1}{T}$
です。同じ関係を $T$ について解けば、
$T = \frac{1}{f}$
とも書けます。どちらも同じ関係を表しているので、問題に応じて使いやすい形を選びましょう。
波の基本式 $v = f\lambda$
波の速さ(単位時間に波が進む距離)を $v$ としましょう。この $v$、振動数 $f$、波長 $\lambda$ の間には、次の関係が成り立ちます。
$v = f\lambda$
この式がどこから出てくるのか、順を追って確認しておきましょう。
まず、波長の意味を思い出します。波長 $\lambda$ とは、「媒質が1回振動する(周期 $T$ の時間が経過する)間に、波が進む距離」のことでした。
速さは「距離 ÷ 時間」で求められるので、波の速さ $v$ は、
$v = \frac{\text{1周期の間に進む距離}}{\text{1周期にかかる時間}} = \frac{\lambda}{T}$
と表せます。
ここで、$T = \dfrac{1}{f}$ という関係を使って、この式の $T$ を $f$ で置きかえます。分母に分数 $\dfrac{1}{f}$ がある式なので、
$v = \frac{\lambda}{T} = \lambda \div \frac{1}{f} = \lambda \times f$
となります。これを並べかえると、
$v = f\lambda$
という波の基本式が得られます。この式は、波の種類(音、光、水面波など)によらず、すべての波に共通して成り立つ、とても重要な関係式です。
単位で確認しておく:振動数 $f$ の単位は $\text{Hz} = 1/\text{s}$、波長 $\lambda$ の単位は $\text{m}$ です。かけ算すると $\dfrac{1}{\text{s}} \times \text{m} = \text{m/s}$ となり、確かに速さの単位になっています。式を覚え間違えたときは、この単位チェックで確認する習慣をつけましょう。
シミュレーションで確認する
下のシミュレーションでは、正弦波(サインカーブの形をした波)の振幅 $A$・波長 $\lambda$・周期 $T$ をそれぞれスライダーで変えられます。波長や周期を変えると、波の速さ $v = f\lambda\ \left(f = \dfrac{1}{T}\right)$ がどう変化するか、情報欄の数値を見ながら確認してみましょう。
例題
例題1(基本)
問題 ある波の周期が $0.5\,\text{s}$、波長が $2\,\text{m}$ であるとき、この波の振動数と速さを求めなさい。
解答・解説を見る
振動数を求める
$f = \dfrac{1}{T}$ の式に $T = 0.5\,\text{s}$ を代入します。
$f = \frac{1}{0.5} = 2\,\text{Hz}$
速さを求める
$v = f\lambda$ の式に、今求めた $f = 2\,\text{Hz}$ と、与えられた $\lambda = 2\,\text{m}$ を代入します。
$v = f\lambda = 2 \times 2 = 4\,\text{m/s}$
したがって、振動数は $2\,\text{Hz}$、速さは $4\,\text{m/s}$ です。
例題2(標準)
問題 ある波の波形を調べたところ、波長は $4\,\text{m}$ でした。また、この波は $8\,\text{m/s}$ の速さで伝わることが分かっています。この波の振動数と周期を求めなさい。
解答・解説を見る
振動数を求める
$v = f\lambda$ の式を、$f$ について解きます。両辺を $\lambda$ で割ると、
$f = \frac{v}{\lambda}$
という形になります。ここに $v = 8\,\text{m/s}$、$\lambda = 4\,\text{m}$ を代入します。
$f = \frac{8}{4} = 2\,\text{Hz}$
周期を求める
$T = \dfrac{1}{f}$ の式に、今求めた $f = 2\,\text{Hz}$ を代入します。
$T = \frac{1}{2} = 0.5\,\text{s}$
したがって、振動数は $2\,\text{Hz}$、周期は $0.5\,\text{s}$ です。
例題3(応用)
問題 水面に浮かべた木の葉が、2秒間に3回上下に振動しながら、その間に波の山が10m進みました。この波の振動数・周期・速さ・波長をそれぞれ求めなさい。
解答・解説を見る
この問題は、与えられている情報を整理するところから始めましょう。「2秒間に3回振動した」という情報から振動数・周期が、「2秒間に山が10m進んだ」という情報から速さが求められます。
振動数を求める
振動数は「1秒間に振動する回数」でした。2秒間に3回振動したので、1秒あたりの振動回数は、
$f = \frac{3\,\text{回}}{2\,\text{s}} = 1.5\,\text{Hz}$
周期を求める
$T = \dfrac{1}{f}$ の式に $f = 1.5\,\text{Hz}$ を代入します。
$T = \frac{1}{1.5} = \frac{2}{3}\,\text{s} \approx 0.67\,\text{s}$
速さを求める
速さは「距離 ÷ 時間」なので、山が2秒間に10m進んだことから、
$v = \frac{10\,\text{m}}{2\,\text{s}} = 5\,\text{m/s}$
波長を求める
$v = f\lambda$ の式を $\lambda$ について解くと、$\lambda = \dfrac{v}{f}$ となります。ここに $v = 5\,\text{m/s}$、$f = 1.5\,\text{Hz}$ を代入します。
$\lambda = \frac{5}{1.5} = \frac{10}{3}\,\text{m} \approx 3.3\,\text{m}$
したがって、振動数は $1.5\,\text{Hz}$、周期は約 $0.67\,\text{s}$、速さは $5\,\text{m/s}$、波長は約 $3.3\,\text{m}$ です。
練習問題
問題 振動数が $500\,\text{Hz}$、波長が $0.68\,\text{m}$ の音の速さを求めなさい。
答え
$v = f\lambda = 500 \times 0.68 = 340\,\text{m/s}$