物理 / 電気と磁気
頻出解法パターン
パターン1: 複数の点電荷による電場・電位の重ね合わせ
こんな問題で使う
複数の点電荷が置かれた状況で、ある点での電場や電位を求める問題、あるいは電場や電位が特定の値(たとえば $0$)になる点を探す問題で使います。
解法の手順
- それぞれの点電荷が単独でつくる電場(向きに注意したベクトル)または電位(符号に注意したスカラー)を、$E=kQ/r^2$、$V=kQ/r$ の式を使って個別に求める。
- 電場を求める場合は、それぞれの電場ベクトルを、向きに注意しながら足し合わせる(同一直線上なら符号をつけた足し算、そうでなければ成分に分けて足し算する)。
- 電位を求める場合は、それぞれの電位を、符号にそのまま注意して(スカラーとして)足し合わせる。
- 「電場が $0$ になる点」を探す問題では、2つの電場ベクトルの大きさが等しく、向きが逆になる条件($k\dfrac{Q_1}{x^2}=k\dfrac{Q_2}{(d-x)^2}$ のような式)を立てて、位置 $x$ について解く。
具体例
正電荷 $Q_1,Q_2$ が距離 $d$ だけ離れて置かれているとき、その間で電場が $0$ になる点を、$Q_1$ からの距離を $x$ として $\dfrac{Q_1}{x^2}=\dfrac{Q_2}{(d-x)^2}$ の形の式を立てて求める(01「電場と電位」の例題3を参照)。
パターン2: コンデンサーの合成と電荷保存を組み合わせて解く
こんな問題で使う
複数のコンデンサーが直列・並列に組み合わされている回路で、それぞれの電荷や電圧を求める問題、あるいは充電されたコンデンサーを別のコンデンサーにつなぎ替える「電荷分配」の問題で使います。
解法の手順
- 直列部分は $\dfrac{1}{C}=\dfrac{1}{C_1}+\dfrac{1}{C_2}$、並列部分は $C=C_1+C_2$ を使って、回路全体を1つの合成容量にまとめる。
- 全体にかかる電圧(または全体の電荷)を、$Q=CV$ の式から求める。
- 直列部分は「電荷が共通」、並列部分は「電圧が共通」という性質を使って、それぞれのコンデンサーの電荷・電圧を逆算する。
- コンデンサーをつなぎ替える問題では、つなぎ替えの前後で「全体の電荷の総量」が保存されることを利用して、つなぎ替え後の共通電圧を求める。
具体例
充電されたコンデンサー $C_1$(電荷 $Q_0$)を、電荷のない $C_2$ と並列につないだとき、つなぎ替え後の共通電圧は $V_f=\dfrac{Q_0}{C_1+C_2}$ で求められる(章末問題の問題2を参照)。
パターン3: キルヒホッフの法則で多電源・多抵抗の回路を解く
こんな問題で使う
電池が2つ以上あったり、単純な直列・並列に分解できない回路で、それぞれの枝を流れる電流を求める問題で使います。
解法の手順
- それぞれの枝を流れる電流に、記号と(仮の)向きを与えて図に書き込む。
- 分岐点で、第一法則(流れ込む電流の和 = 流れ出る電流の和)の式を立てる。
- 適当な閉回路を選び、一周する向きを決めて、第二法則(起電力の和 = 電圧降下の和)の式を、符号に注意して立てる。必要な独立した式の数だけ、別の閉回路を選んで繰り返す。
- 得られた連立方程式を、代入法などで解く。答えが負になった枝は、実際の電流の向きが最初に決めた向きと逆であることを意味する。
具体例
3本の枝が2点間に並列につながれた回路で、分岐点の式1本と、2つの閉回路の式2本、合計3本の連立方程式を解いて3つの電流を求める(03「直流回路とキルヒホッフの法則」の例題3を参照)。
パターン4: 非オーム抵抗を含む回路は負荷線との交点で考える
こんな問題で使う
電球やダイオードのように、電流と電圧が比例しない素子を含む回路で、実際に流れる電流と素子にかかる電圧(動作点)を求める問題で使います。
解法の手順
- 素子以外の回路部分(電池と直列抵抗など)について、キルヒホッフの法則から、電流 $I$ と素子の電圧 $V$ の関係式(負荷線の式、$I$ と $V$ について1次式になる)を立てる。
- 素子の電流-電圧の特性(グラフまたは式)を用意する。
- 負荷線の式と、素子の特性を連立させる。特性が式で与えられていれば代入して方程式を解き、グラフで与えられていれば2つの線を重ねて描いて交点を読み取る。
- 求まった交点の $(V,I)$ が、実際にその回路で実現する動作点である。
具体例
電球の特性が $I=0.1V^2$ で近似でき、回路の式が $6.0=10I+V$ であるとき、これらを連立させた2次方程式 $V^2+V-6=0$ を解いて動作点 $V=2.0\,\text{V}$、$I=0.4\,\text{A}$ を求める(04「非オーム抵抗と半導体の初歩」の例題2を参照)。
パターン5: 磁場の公式は形をみて使い分ける
こんな問題で使う
直線電流、円形電流、ソレノイドなど、電流のつくる磁場の強さを求める問題で使います。
解法の手順
- 問題の図形が「直線」「円形(1巻きまたは複数巻き)」「ソレノイド(密に巻かれた長いコイル)」のどれに当てはまるかを判断する。
- 直線電流なら $B=\mu_0\dfrac{I}{2\pi r}$(距離 $r$ に反比例)、円形電流なら $B=\mu_0\dfrac{NI}{2r}$(半径 $r$ に反比例)、ソレノイドなら $B=\mu_0nI$(半径によらない、単位長さあたりの巻き数 $n$ に比例)という、それぞれ異なる式を選ぶ。
- $\mu_0=4\pi\times10^{-7}$ の $\pi$ が、式中の $\pi$ と約分できることが多いので、先に整理してから数値を代入すると計算が楽になる(直線電流なら $B=2\times10^{-7}\dfrac{I}{r}$ という形になる)。
- 向きは右手の法則で確認する。
具体例
半径 $0.050\,\text{m}$、$20$回巻きの円形コイルに $2.0\,\text{A}$ を流したときの中心磁場を、$B=\mu_0\dfrac{NI}{2r}$ に代入して求める(05「磁場の基本」の例題2を参照)。
パターン6: ローレンツ力による円運動は向心力の式から半径・周期を導く
こんな問題で使う
一様な磁場に垂直に入射した荷電粒子が描く、円運動の半径や周期を求める問題で使います。
解法の手順
- 磁場に垂直に入射した荷電粒子には、常に進行方向に垂直なローレンツ力 $F=qvB$ がはたらき、これが円運動の向心力の役割を果たすと考える。
- 向心力の式 $\dfrac{mv^2}{r}$ とローレンツ力 $qvB$ を等しいとおく: $qvB=\dfrac{mv^2}{r}$
- 両辺を $v$ で割り、$r$ について解くと $r=\dfrac{mv}{qB}$ が得られる。
- 周期を求めたい場合は、$T=\dfrac{2\pi r}{v}$ に上の $r$ を代入し、$v$ を約分して $T=\dfrac{2\pi m}{qB}$ を得る。この式に $v$ が含まれていないこと(周期は速さによらない)を確認する。
具体例
陽子が磁束密度 $0.10\,\text{T}$ の磁場に垂直に速さ $1.0\times10^6\,\text{m/s}$ で入射したときの円運動の半径と周期を、$r=mv/(qB)$、$T=2\pi m/(qB)$ から求める(06「電磁力とローレンツ力」の例題3を参照)。
パターン7: 電磁誘導は $\Delta\Phi/\Delta t$ を求めてから大きさと向きを分けて考える
こんな問題で使う
コイルを貫く磁束が変化する状況で、誘導起電力の大きさと、誘導電流の向きを求める問題で使います。
解法の手順
- 変化の前後の磁束 $\Phi_1=B_1S$、$\Phi_2=B_2S$ を求め、その差 $\Delta\Phi=\Phi_2-\Phi_1$ を計算する(大きさだけが必要なら絶対値をとる)。
- ファラデーの法則 $V=N\left|\dfrac{\Delta\Phi}{\Delta t}\right|$ に代入して、誘導起電力の大きさを求める。
- 誘導電流の向きは、大きさの計算とは別に、レンツの法則(磁束の変化を妨げる向き)を使って個別に判断する。
- 導体棒が磁場中を移動する設定では、$V=vBL$ の式を直接使うか、あるいは「棒が単位時間に通過する面積」から $\Delta\Phi/\Delta t$ を計算して同じ結果を導いてもよい。
具体例
面積が一定のコイルを貫く磁束密度が $\Delta t$ の間に $B_1$ から $B_2$ に変化したときの誘導起電力を、$\Delta\Phi=S(B_2-B_1)$ を計算してからファラデーの法則に代入して求める(07「電磁誘導」の例題1を参照)。
パターン8: 交流は実効値・最大値・リアクタンスを整理してから計算する
こんな問題で使う
抵抗・コイル・コンデンサーのいずれかに交流電圧をかけたときの、電流や消費電力を求める問題で使います。
解法の手順
- 与えられている値が「最大値」なのか「実効値」なのかを、まず確認する。$V_e=V_0/\sqrt2$ の関係を使って、必要なほうに変換する。
- 角周波数 $\omega=2\pi f$ を求める。
- 素子の種類に応じて、リアクタンス(コイルなら $X_L=\omega L$、コンデンサーなら $X_C=1/(\omega C)$)を計算する。抵抗の場合はそのまま $R$ を使う。
- オームの法則と同じ形($I=V/X$ または $I=V/R$)で電流を求める。最大値どうし、実効値どうしを組み合わせて計算すること(最大値と実効値を混ぜて計算しないこと)に注意する。
- 平均消費電力を求める場合は、必ず実効値を使い、位相差 $\varphi$($R$なら$0°$、$L,C$なら$90°$)を考慮して $P=V_eI_e\cos\varphi$ を適用する。
具体例
静電容量 $C=20\,\mu\text{F}$ に最大値 $141\,\text{V}$、周波数 $50\,\text{Hz}$ の交流電圧をかけたとき、$\omega$ と $X_C=1/(\omega C)$ を先に求めてから $I_0=V_0/X_C$ を計算する(09「交流回路」の例題3を参照)。