物理 / 様々な運動
頻出解法パターン
パターン1: 運動をx方向とy方向に分解して、それぞれ独立に計算する
こんな問題で使う
平面内の運動、斜方投射(放物運動)など、2方向以上に運動する物体の位置・速度・加速度を求める問題で使います。
解法の手順
- 運動を、互いに垂直な2方向(たとえばx方向とy方向)に分解する。
- それぞれの方向に、どんな力(加速度)がはたらいているかを確認する。
- 各方向について、物理基礎で学んだ等速直線運動や等加速度直線運動の公式をそのまま当てはめて計算する。
- 必要であれば、最後に $|\vec{v}|=\sqrt{v_x^2+v_y^2}$ のように成分を合成して、大きさや向きを求める。
具体例
斜方投射で、初速度 $v_0$、角度 $\theta$ のとき、x方向は力がはたらかないので $x=v_0\cos\theta\cdot t$(等速直線運動)、y方向は重力による加速度がはたらくので $y=v_0\sin\theta\cdot t-\frac{1}{2}gt^2$(等加速度直線運動)と、別々の公式をそのまま当てはめて解きます。
パターン2: 相対速度はベクトルの引き算として求める
こんな問題で使う
動いている観測者から見た他の物体の速度を求める問題(川を渡る船、すれ違う電車など)で使います。
解法の手順
- 求めたい相対速度が「誰から見た、誰の速度か」を確認し、$\vec{v}_{AB}=\vec{v}_B-\vec{v}_A$(Aから見たBの相対速度)の形で式を立てる。
- 各物体の速度をx成分・y成分に分解する。
- 成分ごとに引き算をする:$v_{AB,x}=v_{B,x}-v_{A,x}$、$v_{AB,y}=v_{B,y}-v_{A,y}$。
- 必要であれば、大きさと向きを求める。
具体例
東向きに15 m/sで走る車Aと、西向きに10 m/sで走る車Bがあるとき、東向きを正として $v_A=15$、$v_B=-10$ とし、$v_{AB}=v_B-v_A=-10-15=-25$ m/sより、Aから見るとBは西向きに25 m/sで近づいてくる、と求められます。
パターン3: 剛体のつり合いでは、力のつり合いとモーメントのつり合いをセットで使う
こんな問題で使う
棒や板など、大きさをもつ物体(剛体)が静止している状況で、はたらいている力の大きさや位置を求める問題で使います。
解法の手順
- 剛体にはたらいているすべての力を図示する。
- 力のつり合いの式($\sum F_x=0$、$\sum F_y=0$)を立てる。
- 都合のよい1点(なるべく多くの未知の力が集まる点)を支点として選び、その点のまわりのモーメントのつり合いの式($\sum M=0$、または「時計回りの和 $=$ 反時計回りの和」)を立てる。
- 力のつり合いの式とモーメントのつり合いの式を連立させて、未知数を求める。
具体例
壁にヒンジで固定された棒がケーブルで支えられている問題では、ヒンジの位置を支点に選ぶと、ヒンジにはたらく未知の反力が腕の長さ0となってモーメントの式から消えるため、ケーブルの張力だけを含む簡単な式を立てることができます。
パターン4: 衝突の問題では、運動量保存則と反発係数の式を連立させる
こんな問題で使う
2つの物体が衝突する問題で、衝突後のそれぞれの速度を求めるときに使います。
解法の手順
- 正の向きを1つ決め、衝突前の速度をすべて符号つきの数値で表す。
- 運動量保存則 $m_1v_1+m_2v_2=m_1v_1\,'+m_2v_2\,'$ の式を立てる。
- 反発係数の式 $e=-\dfrac{v_1\,'-v_2\,'}{v_1-v_2}$ の式を立てる。
- この2つの式を、$v_1\,'$、$v_2\,'$ についての連立方程式として解く。
具体例
質量2.0 kg・速度6.0 m/sの物体1と、質量2.0 kg・静止している物体2が、$e=1$(弾性衝突)で衝突する場合、運動量保存則と反発係数の式を連立させると、$v_1\,'=0$、$v_2\,'=6.0$ m/sとなり、質量が等しい物体どうしの弾性衝突では速度がそっくり入れ替わることが確認できます。
パターン5: 円運動では、実在する力を中心方向に分解して向心力の式に当てはめる
こんな問題で使う
糸につながれたおもりの円運動、カーブを曲がる自動車、円錐振り子など、円運動をしている物体にはたらく力を求める問題で使います。
解法の手順
- 物体にはたらいている実在の力(重力・張力・垂直抗力・摩擦力など)をすべて図示する。
- これらの力を、円の中心方向の成分と、それに垂直な方向の成分に分解する。
- 中心方向の成分の合計を、向心力の式 $F=mr\omega^2=\dfrac{mv^2}{r}$ の右辺と等しいとおく。
- 中心に垂直な方向については、力のつり合いの式(その方向には加速度がないため)を立てる。
- 2つの式を連立させて、未知数(張力や角度など)を求める。
具体例
円錐振り子では、糸の張力を鉛直成分($S\cos\phi$)と水平成分($S\sin\phi$)に分解し、鉛直方向はつり合いの式 $S\cos\phi=mg$、水平方向は向心力の式 $S\sin\phi=mr\omega^2$ を連立させて解きます。
パターン6: 単振動の周期は、復元力の式を$F=-m\omega^2x$の形と見比べて求める
こんな問題で使う
ばね振り子や単振り子など、単振動をする物体の角振動数や周期を求める問題で使います。
解法の手順
- 物体にはたらく復元力(つり合いの位置に戻そうとする力)を、変位 $x$ を使った式で表す。
- その式を、単振動の基本の関係 $F=-m\omega^2x$ の形と見比べる。
- $m\omega^2$ に対応する部分を求め、$\omega$ について解く。
- 周期は $T=\dfrac{2\pi}{\omega}$ の式で求める。
具体例
ばね振り子では、復元力はフックの法則より $F=-kx$ なので、$m\omega^2=k$ と見比べて $\omega=\sqrt{k/m}$ が得られます。単振り子では、復元力が(小さい角度の範囲で)$-\dfrac{mg}{l}x$ の形になることから、$m\omega^2=\dfrac{mg}{l}$ と見比べて $\omega=\sqrt{g/l}$ が得られます。
パターン7: 惑星や衛星の運動では、万有引力を向心力の式と等しいとおく
こんな問題で使う
人工衛星や惑星の軌道の速さ、周期、ケプラーの第三法則に関する問題で使います。
解法の手順
- 中心天体の質量を $M$、まわりを回る物体の質量を $m$、軌道半径を $r$ とする。
- 万有引力の式 $F=G\dfrac{Mm}{r^2}$ を書く。
- この万有引力が向心力の役割を果たしていると考え、$G\dfrac{Mm}{r^2}=mr\omega^2$(または $\dfrac{mv^2}{r}$)とおく。
- 両辺の $m$(まわりを回る物体自身の質量)を消去し、$\omega$、$v$、$T$ などの求めたい量について解く。
具体例
軌道速さを求めたいときは、$G\dfrac{Mm}{r^2}=\dfrac{mv^2}{r}$ の両辺を $m$ で割り、さらに $r$ を掛けて $v^2=\dfrac{GM}{r}$ の形にしてから、平方根をとって $v=\sqrt{GM/r}$ を求めます。周期を求めたいときは、$\omega=\dfrac{2\pi}{T}$ の関係を使って $T^2=\dfrac{4\pi^2}{GM}r^3$(ケプラーの第三法則)の形に持ち込みます。