物理基礎 / 電気

電流と電圧

要点整理

電流とは何か

導線(電気を通す線)の中では、目には見えませんが、電気を帯びた小さな粒子が絶えず動いています。この「電気の流れ」のことを電流といいます。そして、一定時間の間にどれだけの量の電気が流れたかを表す量が、電流の大きさです。

電気の量そのものは電気量と呼ばれ、記号は $Q$、単位は C(クーロン)を使います。電流は「1秒間あたりに流れる電気量」として定義されます。式で書くと、次のようになります。

$ I = \frac{Q}{t} $

ここで、$I$ は電流の大きさ(単位 A、アンペア)、$Q$ は流れた電気量(単位 C)、$t$ は電気が流れた時間(単位 s、秒)です。この式から、電流の単位について次の関係が成り立つことが分かります。

$ 1\ \text{A} = 1\ \frac{\text{C}}{\text{s}} $

つまり、1Aの電流とは「1秒間に1Cの電気量が流れる」ような電流の強さのことです。この式を使うときにもっとも注意してほしいのは、$t$ の単位です。問題文で「3分間」「2時間」のように分や時間で与えられていても、式に代入する前に必ず秒(s)に直してください。1分は60秒、1時間は3600秒です。

電圧とは何か:水のたとえで考える

電流だけでは「なぜ電気が流れるのか」を説明できません。電気を流そうとする"押す力"に相当する量が電圧です。電圧は記号 $V$、単位はV(ボルト)を使います。

電圧の意味をつかむために、水道の水の流れにたとえてみましょう。

  • 高いところにあるタンクから低いところへ水を流すとき、タンクの水面の高さの差(高低差)が大きいほど、勢いよく水が流れます。この「高低差」に相当するのが電圧です。
  • 実際に流れる水の量(1秒あたりに流れる水の体積)に相当するのが電流です。

高低差(電圧)が大きいほど、同じ太さの管でもたくさんの水(電流)が流れます。電気回路でも同じように、電圧が大きいほど、同じ導線によりたくさんの電流が流れます。この関係は次の単元「オームの法則」で数式として学びます。

電圧をもう少しきちんと定義すると、「1Cの電気量を移動させるのに必要な仕事(エネルギー)」ということになります。式で書くと、次のようになります。

$ V = \frac{W}{Q} $

ここで、$W$ は電気量 $Q$ を移動させるのに必要な仕事(単位 J、ジュール)です。この式を変形すると $W = QV$ となり、これは後の単元「電力と電力量」で電気がした仕事(電気エネルギー)を求めるときにもう一度使います。ここでは「電圧が高いほど、同じ電気量を運ぶのにより大きな仕事をしている」という意味だけ覚えておけば十分です。

電流の正体

電流の正体は、金属の中を自由に動くことができる自由電子という粒子の移動です。自由電子は負(マイナス)の電気を帯びています。この電流の向きと自由電子が動く向きの関係については、次の「静電気と電流の正体」の単元でくわしく学びます。

例題

例題1(基本)

問題

ある導線に電流を流したところ、5.0秒間に10Cの電気量が通過しました。この電流の大きさは何Aですか。

解答・解説を見る

電流の定義式 $I = \dfrac{Q}{t}$ を使います。

問題文から、$Q = 10\ \text{C}$、$t = 5.0\ \text{s}$ です。時間はすでに秒で与えられているので、そのまま代入できます。

$ I = \frac{Q}{t} = \frac{10}{5.0} = 2.0\ \text{A} $

答え: 2.0 A

例題2(標準)

問題

3.0Aの電流が流れている導線があります。この電流を2分間流し続けたとき、導線を通過した電気量は何Cですか。

解答・解説を見る

まず、時間の単位をそろえます。問題文の時間は「2分間」ですが、電流の式で使う $t$ は秒(s)である必要があるので、分を秒に直します。

$ t = 2\ \text{分} = 2 \times 60\ \text{s} = 120\ \text{s} $

電流の定義式 $I = \dfrac{Q}{t}$ を、求めたい $Q$ について解き直します。両辺に $t$ をかけると、

$ Q = I \times t $

となります。ここに $I = 3.0\ \text{A}$、$t = 120\ \text{s}$ を代入します。

$ Q = 3.0 \times 120 = 360\ \text{C} $

答え: 360 C

例題3(応用)

問題

ある導線に1.5Aの電流を10分間流しました。この間に導線の断面を通過した自由電子の個数はおよそ何個ですか。電気素量(電子1個がもつ電気量の大きさ)を $e = 1.6 \times 10^{-19}\ \text{C}$ とします。

解答・解説を見る

この問題は2段階で考えます。まず流れた電気量 $Q$ を求め、次にその電気量が電子何個分に相当するかを求めます。

ステップ1: 電気量 $Q$ を求める

時間を秒に直します。

$ t = 10\ \text{分} = 10 \times 60 = 600\ \text{s} $

電流の定義式を $Q$ について解いた形 $Q = It$ に、$I = 1.5\ \text{A}$、$t = 600\ \text{s}$ を代入します。

$ Q = 1.5 \times 600 = 900\ \text{C} $

ステップ2: 電子の個数を求める

電気量 $Q$ は、電子1個の電気量 $e$ が何個分集まったものかを考えます。電子の個数を $n$ とすると、$Q = n \times e$ という関係が成り立つので、

$ n = \frac{Q}{e} = \frac{900}{1.6 \times 10^{-19}} $

この割り算を計算します。

$ n = \frac{900}{1.6} \times 10^{19} = 562.5 \times 10^{19} = 5.625 \times 10^{21} $

答え: およそ $5.6 \times 10^{21}$ 個

練習問題

問題

0.50Aの電流が流れている回路があります。3.0分間電流を流したとき、流れた電気量は何Cですか。

答え

時間を秒に直すと $t = 3.0 \times 60 = 180\ \text{s}$。

$Q = It = 0.50 \times 180 = 90\ \text{C}$

答え: 90 C