物理基礎 / 運動とエネルギー

頻出解法パターン

パターン1: 等加速度直線運動の3公式の使い分け

こんな問題で使う

初速度・加速度・時間・変位・速度のうち、いくつかの値が与えられ、残りの値を求める問題。

解法の手順

  1. 問題文から、与えられている量と、求めたい量をすべて書き出す。
  2. 時間 $t$ が、与えられてもいないし求めたくもない場合は、時間を含まない式 $v^2-v_0^2=2ax$ を使う。
  3. 時間 $t$ が関係する場合は、$v=v_0+at$ と $x=v_0t+\dfrac{1}{2}at^2$ を使う。
  4. 与えられた値を代入し、順番に計算する。

具体例

初速度 $8\ \mathrm{m/s}$、加速度 $2\ \mathrm{m/s^2}$ で $6\ \mathrm{s}$ 間進んだときの変位を求める場合、時間がわかっているので $x=v_0t+\dfrac{1}{2}at^2$ を使い、$x=8\times 6+\dfrac{1}{2}\times 2\times 6^2=48+36=84\ \mathrm{m}$ となる。

パターン2: 投げ上げ・投げ下ろしでの符号の決め方

こんな問題で使う

自由落下、鉛直投げ上げ、鉛直投げ下ろしが関わる問題。

解法の手順

  1. 上向き(または下向き)を正の向きと自分で決める。
  2. 決めた向きに合わせて、初速度と重力加速度の符号を決める(上向きを正にした場合、重力加速度は $-g$)。
  3. $v=v_0-gt$、$y=v_0t-\dfrac{1}{2}gt^2$ に、符号をつけた値を代入する。
  4. 計算結果の符号の意味を確認する(正なら最初に決めた向き、負ならその反対向き)。

具体例

上向きを正として、初速度 $-9.8\ \mathrm{m/s}$(下向きに投げ下ろし)で投げてから $2\ \mathrm{s}$ 後の位置は、$y=-9.8\times 2-\dfrac{1}{2}\times 9.8\times 2^2=-19.6-19.6=-39.2\ \mathrm{m}$ となり、最初の位置より $39.2\ \mathrm{m}$ 下にいることがわかる。

パターン3: 水平投射でx方向とy方向を分けて考える

こんな問題で使う

水平投射のように、物体が2つの方向に同時に運動している問題。

解法の手順

  1. 水平方向の運動と、鉛直方向の運動を、完全に別のものとして分ける。
  2. 水平方向は等速直線運動として $x=v_0t$ を使う。
  3. 鉛直方向は自由落下として $y=\dfrac{1}{2}gt^2$、$v_y=gt$ を使う。
  4. どちらの式にも共通して登場する時刻 $t$ を使って、2つの式を連立させる。

具体例

高さ $19.6\ \mathrm{m}$ から水平投射したとき、まず鉛直方向の式から落下時間 $t=2\ \mathrm{s}$ を求め、その $t$ を水平方向の式に代入して到達距離を求める、という手順を踏む。

パターン4: 力を成分に分けて連立方程式を立てる

こんな問題で使う

斜面上の物体や、複数の力(張力・垂直抗力・重力など)が斜めにはたらく、力のつり合い・分解の問題。

解法の手順

  1. 物体にはたらく力をすべて図に矢印で書き出す。
  2. 斜めの力を、水平成分と鉛直成分(または斜面に平行な成分と垂直な成分)に分解する。
  3. 方向ごとに $\sum F_x=0$、$\sum F_y=0$ の式を立てる。
  4. 2つの式を連立させて、未知数を求める。

具体例

摩擦のない斜面上で静止している物体を糸で支えている問題では、斜面に垂直な方向の式から垂直抗力 $N=mg\cos\theta$ を、斜面に平行な方向の式から張力 $T=mg\sin\theta$ を、それぞれ別の式として立てて求める。

パターン5: 摩擦問題では「滑るかどうか」を先に判定する

こんな問題で使う

摩擦のある物体が「動くか動かないか」、あるいは「動くとしたらどんな加速度か」を問う問題。

解法の手順

  1. 最大摩擦力 $f_{max}=\mu N$ を計算する。
  2. 物体を動かそうとしている力(斜面なら重力の斜面方向成分)と、最大摩擦力の大きさを比較する。
  3. 動かそうとする力が最大摩擦力以下なら、物体は静止したままで、実際の摩擦力は「動かそうとする力と同じ大きさ」になる。
  4. 動かそうとする力が最大摩擦力を超えていれば、物体は運動を始め、動摩擦力 $f'=\mu' N$ を使って運動方程式 $ma=F-f'$ を立てる。

具体例

斜面の角度を $\theta$、静止摩擦係数を $\mu$ とするとき、まず $\tan\theta$ と $\mu$ の大小を比較し、$\tan\theta>\mu$ なら滑り出す、$\tan\theta\leq\mu$ なら静止したままと判定してから、次の計算に進む。

パターン6: 仕事とエネルギーの関係で近道をする

こんな問題で使う

物体の速さや到達する高さを求めたいが、力や加速度、時間の詳しい情報がない(または求める必要がない)問題。

解法の手順

  1. 摩擦や空気抵抗があるかどうかを確認する。
  2. 摩擦がなければ、力学的エネルギー保存則 $K_1+U_1=K_2+U_2$ を使う。摩擦があれば、仕事とエネルギーの関係($W=\Delta K$、失われた分は差し引く)を使う。
  3. 位置エネルギーの基準点($h=0$ の位置)を決める。
  4. 式を立てて、求めたい量について解く。

具体例

高さ $h$ から摩擦なしで静かに滑り出した物体の、地面での速さを求めたいとき、運動方程式を使わずに $mgh=\dfrac{1}{2}mv^2$ から直接 $v=\sqrt{2gh}$ を求めることができる。

パターン7: 熱量保存則で混合問題を解く

こんな問題で使う

温度の異なる物体を接触させたり、混ぜ合わせたりして、最終的な温度や比熱を求める問題。

解法の手順

  1. どちらが熱を失う(高温側)で、どちらが熱を得る(低温側)かを確認する。
  2. それぞれについて $Q=mc\Delta T$ を立てる。$\Delta T$ は必ず正になるように、大きい温度から小さい温度を引く。
  3. 「高温側が失った熱量 = 低温側が得た熱量」という式を立てる。
  4. 求めたい量(最終温度や比熱)について解く。

具体例

高温の金属を水の中に入れて熱平衡に達した問題では、金属が失った熱量の式 $m_{金属}c_{金属}\Delta T_{金属}$ と、水が得た熱量の式 $m_{水}c_{水}\Delta T_{水}$ を等号で結び、わからない比熱や最終温度について解く。