物理基礎 / 物理学が拓く世界
科学的探究の方法とものの見方
要点整理
物理学は、身のまわりで起こるさまざまな現象を「なぜそうなるのか」「どういう法則があるのか」と考えて調べていく学問です。ここでは、そのときに使われる「科学的探究の方法」という考え方を紹介します。
科学的探究の進み方
科学の研究は、だいたい次のような流れで進みます。
- 観察・疑問:自然現象を観察して、「あれ、どうしてだろう」という疑問を持ちます。
- 仮説を立てる:疑問に対して、「たぶんこういう理由ではないか」という予想(仮説)を立てます。
- 実験・観察による検証:仮説が正しいかどうかを、実験や観察によって確かめます。条件をそろえて何度も測定し、データを集めます。
- 結果の分析:得られたデータを整理し、仮説と合っているかどうかを検討します。
- 結論:仮説が支持されれば、それは法則や理論として認められていきます。もし実験結果が仮説と合わなければ、仮説を修正して、もう一度検証をやり直します。
大切なのは、「思いつきをそのまま信じる」のではなく、必ず実験や観察によって確かめるという態度です。そして、一度成り立った法則であっても、新しい実験によって矛盾が見つかれば、修正されることがあります。科学は「常に検証され続けているもの」だと考えておくとよいでしょう。
誤差と有効数字
実験では、長さや時間、質量などを実際に測定します。しかし、どんなに注意深く測定しても、測定には必ず小さなズレが生じます。これを誤差といいます。誤差が生じる原因には、測定器の目盛りの限界、測定する人の読み取り方のクセ、周囲の温度や振動など、さまざまなものがあります。
そのため、測定値を扱うときは、「どこまでが信頼できる数字か」を意識する必要があります。この信頼できる桁数のことを有効数字といいます。
例えば、$1\ \mathrm{mm}$ 刻みの目盛りがついた定規で長さを測ったとき、目分量で読み取った最後の1桁まで含めて「$12.34\ \mathrm{cm}$」のように記録します。この場合、有効数字は4桁です。最後の桁(この例では小数第2位の「4」)は目分量による見積もりなので、多少の誤差を含んでいることを意味します。
測定値どうしをかけ算・わり算するときは、答えの有効数字を、もとの測定値の中で最も桁数の少ないものに合わせるのが基本です。すべての桁をそのまま計算結果に書いてしまうと、実際には信頼できないはずの桁まで「正確な値」であるかのように見えてしまうため、注意が必要です。
具体例で確認しよう
問題
ある物体の長さを測定したところ $2.5\ \mathrm{cm}$ であった。この測定値の有効数字は何桁か答えよ。
解答・解説を見る
$2.5\ \mathrm{cm}$ という測定値は、「2」と「5」の2つの数字が意味を持つ桁として書かれています。小数第1位の「5」は目分量で読み取った桁であり、ここまでが信頼できる数字として記録されています。
答え:有効数字は2桁
物理基礎を学んでいくときは、公式を覚えて計算することも大切ですが、それ以上に「どうやってその法則にたどり着いたのか」「その数値はどれくらい信頼できるものなのか」という視点を持つことが、科学的なものの見方を育てることにつながります。難しく感じるかもしれませんが、これから学んでいく一つ一つの単元でも、この「仮説→検証」という考え方が土台になっていることを、頭の片隅に置いておきましょう。