物理基礎 / 運動とエネルギー

ばねの力とフックの法則

要点整理

ばねを手で引っ張ると、引っ張る力が大きいほど、ばねは大きく伸びます。この関係を初めて詳しく調べたのがイギリスの科学者フックで、次のような法則が成り立つことがわかっています。

フックの法則

ばねの伸び(自然長からどれだけ伸びたか、または縮んだか)を $x$ とすると、ばねを伸ばす(縮める)のに必要な力の大きさ $F$ は、$x$ に比例します。

$F = kx$

この比例定数 $k$ をばね定数と呼びます。ばね定数は、そのばね1本ごとに決まっている固有の値で、単位は $\mathrm{N/m}$(ニュートン毎メートル)です。$k$ が大きいばねほど「硬い」ばねで、同じ力を加えても伸びにくくなります。

ばねが伸びたり縮んだりすると、ばねは元の長さに戻ろうとする力を出します。これを弾性力と呼びます。弾性力の向きは、常に「変形を元に戻す向き」です。伸びたばねなら縮む向き(引っ張る力とは反対向き)に、縮んだばねなら伸びる向きに、弾性力がはたらきます。

おもりをつるしたときの伸び

天井からばねをつるし、その下に質量 $m$ のおもりを取り付けて静かに手を離すと、おもりは最終的にある位置で静止します。このとき、おもりにはたらく力は、下向きの重力 $mg$ と、上向きの弾性力 $kx$ の2つだけで、これらがつり合っています。

$kx = mg$

したがって、つり合いの位置でのばねの伸びは、

$x = \frac{mg}{k}$

で求められます。おもりが重いほど、また、ばね定数が小さい(柔らかい)ばねほど、伸びは大きくなることがこの式からわかります。

下のシミュレーションで、ばね定数とおもりの重さを変えながら、ばねの伸びがどう変化するか確認してみましょう。

例題

例題1(基本)

問題

ばね定数 $200\ \mathrm{N/m}$ のばねに、質量 $2\ \mathrm{kg}$ のおもりをつるした。ばねの伸びを求めよ。$g=9.8\ \mathrm{m/s^2}$ とする。

解答・解説を見る

おもりにはたらく重力の大きさは、

$mg = 2\times 9.8 = 19.6\ \mathrm{N}$

つり合いの位置では、この重力の大きさと弾性力の大きさが等しくなるので、$x=\dfrac{mg}{k}$ に $mg=19.6$、$k=200$ を代入します。

$x = \frac{19.6}{200} = 0.098\ \mathrm{m}$

答え:ばねの伸びは $0.098\ \mathrm{m}$($9.8\ \mathrm{cm}$)

例題2(標準)

問題

あるばねに $4\ \mathrm{N}$ の力を加えたところ、$0.05\ \mathrm{m}$ 伸びた。このばねのばね定数を求めよ。また、このばねに $6\ \mathrm{N}$ の力を加えたときの伸びを求めよ。

解答・解説を見る

ばね定数

$F=kx$ を $k$ について解くと $k=\dfrac{F}{x}$ なので、$F=4$、$x=0.05$ を代入します。

$k = \frac{4}{0.05} = 80\ \mathrm{N/m}$

6Nを加えたときの伸び

$F=kx$ を $x$ について解くと $x=\dfrac{F}{k}$ なので、$F=6$、$k=80$ を代入します。

$x = \frac{6}{80} = 0.075\ \mathrm{m}$

答え:ばね定数は $80\ \mathrm{N/m}$、$6\ \mathrm{N}$ を加えたときの伸びは $0.075\ \mathrm{m}$($7.5\ \mathrm{cm}$)

フックの法則 $F=kx$ では、$k$ はばね1本につき決まった値なので、一度 $k$ がわかれば、違う力を加えたときの伸びも計算できます。

例題3(応用)

問題

ばね定数 $100\ \mathrm{N/m}$ のばねAと、ばね定数 $150\ \mathrm{N/m}$ のばねBを、下の図のように縦につなげ(直列につなぎ)、その下に質量 $3\ \mathrm{kg}$ のおもりをつるした。ばねA、ばねBそれぞれの伸びと、全体の伸びを求めよ。$g=9.8\ \mathrm{m/s^2}$ とする。

解答・解説を見る

ばねを直列につなぐと、AにもBにも、おもりの重さと同じ大きさの力がそのまま伝わります。おもりにはたらく重力の大きさは、

$mg = 3\times 9.8 = 29.4\ \mathrm{N}$

ばねAの伸び

$x_A = \frac{29.4}{100} = 0.294\ \mathrm{m}$

ばねBの伸び

$x_B = \frac{29.4}{150} = 0.196\ \mathrm{m}$

全体の伸び

直列につないだばねの全体の伸びは、それぞれの伸びの合計になります。

$x_A + x_B = 0.294+0.196 = 0.49\ \mathrm{m}$

答え:ばねAの伸び $0.294\ \mathrm{m}$、ばねBの伸び $0.196\ \mathrm{m}$、全体の伸び $0.49\ \mathrm{m}$

練習問題

問題

ばね定数 $50\ \mathrm{N/m}$ のばねが $0.2\ \mathrm{m}$ 伸びていた。このばねに加えられている力の大きさを求めよ。

答え

$F=kx=50\times 0.2=10\ \mathrm{N}$