物理 / 様々な運動
章末問題
章末問題
問題1
静水に対して5.0 m/sの速さを出せる船が、川幅40 mの川を渡ります。流れの速さは3.0 m/sで、船首を流れに対して垂直な向き(対岸に向かってまっすぐ)に向けて進むとき、対岸に着くまでにかかる時間と、その間に流された下流方向の距離を求めなさい。
解答・解説を見る
船の運動は、「流れに垂直な方向」と「流れに沿う方向」に分けて、それぞれ独立に考えることができます。
流れに垂直な方向:船首をこの向きに向けているので、この方向の速さはそのまま5.0 m/sです。川幅40 mを渡りきるのにかかる時間 $t$ は、
$t = \frac{40}{5.0} = 8.0 \text{ s}$
流れに沿う方向:この方向には、川の流れによって3.0 m/sで押し流され続けます。8.0秒の間に流される距離は、
$3.0 \times 8.0 = 24 \text{ m}$
したがって、対岸に着くまでの時間は8.0秒、その間に下流方向へ流される距離は24 mです。
問題2
地面から、初速度25 m/s、水平から角度 $\theta$($\sin\theta=0.6$、$\cos\theta=0.8$)で物体を投げ出しました。重力加速度を $g=9.8$ m/s²として、投げ出してから1.0秒後の速度ベクトルの成分と、その大きさ(速さ)を求めなさい。
解答・解説を見る
初速度を成分に分けます。
$v_{0x} = 25\times0.8 = 20 \text{ m/s}, \qquad v_{0y} = 25\times0.6 = 15 \text{ m/s}$
x方向には力がはたらかないので、速度は変化しません。
$v_x = 20 \text{ m/s(一定)}$
y方向には重力による加速度 $-g$ がはたらくので、$t=1.0$ sでの速度は、
$v_y = v_{0y} - gt = 15 - 9.8\times1.0 = 5.2 \text{ m/s}$
したがって、$t=1.0$ sでの速度ベクトルの成分は $(20, 5.2)$ m/sです。速さは、
$|\vec{v}| = \sqrt{v_x^2+v_y^2} = \sqrt{20^2+5.2^2} = \sqrt{400+27.04} = \sqrt{427.04} \approx 20.7 \text{ m/s}$
したがって、速さは約20.7 m/sです。
問題3
質量が無視できる一様な棒の一端Oが壁にヒンジ(蝶番)で固定され、水平に張り出しています。棒の長さは4.0 m、重さは40 Nで、その重さは棒の中央(Oから2.0 mの位置)にはたらくとみなせます。棒の先端(Oから4.0 mの位置)から、棒と30°の角をなすケーブルで壁の上方に吊られており、棒は水平を保っています。ケーブルの張力 $T$ を求めなさい。ただし $\sin30^\circ=0.5$ とします。
解答・解説を見る
ヒンジO点のまわりのモーメントのつり合いを考えます。O点自身にはたらく力(壁からの反力)は、腕の長さが0なのでモーメントに寄与しません。
棒の重さ40 Nは、Oから2.0 mの位置に下向きにはたらくので、そのモーメントの大きさは、
$M_{重さ} = 40\times2.0 = 80 \text{ N·m}$
ケーブルの張力 $T$ は、棒の先端(Oから4.0 mの位置)で、棒と30°の角をなす向きにはたらいています。この力を、棒に垂直な成分と平行な成分に分解すると、モーメントに寄与するのは棒に垂直な成分 $T\sin30^\circ$ です。腕の長さはOから作用点までの距離である4.0 mそのものなので、モーメントの大きさは、
$M_{張力} = T\sin30^\circ\times4.0 = T\times0.5\times4.0 = 2.0T$
棒が水平を保つ(回転しない)ためには、この2つのモーメントの大きさが等しくなければなりません。
$2.0T = 80$
$T = \frac{80}{2.0} = 40 \text{ N}$
したがって、ケーブルの張力は40 Nです。
問題4
なめらかな水平面上を、右向きに6.0 m/sで進む質量2.0 kgの台車Aが、静止している質量4.0 kgの台車Bに衝突し、反発係数 $e=0.5$ でした。衝突後のAとBの速度をそれぞれ求め、さらに衝突によって失われた運動エネルギーを求めなさい。
解答・解説を見る
右向きを正とし、$m_A=2.0$ kg、$v_A=6.0$ m/s、$m_B=4.0$ kg、$v_B=0$ とします。
運動量保存則より、
$m_Av_A + m_Bv_B = m_Av_A\,' + m_Bv_B\,'$
$2.0\times6.0 + 4.0\times0 = 2.0\,v_A\,' + 4.0\,v_B\,'$
$v_A\,' + 2.0\,v_B\,' = 6.0 \quad \cdots ①$
反発係数の式より、
$0.5 = -\frac{v_A\,'-v_B\,'}{6.0-0}$
$v_A\,'-v_B\,' = -3.0 \quad \cdots ②$
②より $v_A\,'=v_B\,'-3.0$ を①に代入すると、
$(v_B\,'-3.0) + 2.0\,v_B\,' = 6.0$
$3.0\,v_B\,' = 9.0$
$v_B\,' = 3.0 \text{ m/s}$
これを②に代入すると $v_A\,'=3.0-3.0=0$ m/s。
したがって、衝突後Aは静止し($v_A\,'=0$)、Bは3.0 m/sで進みます。
次に、運動エネルギーを比較します。衝突前の運動エネルギーの合計は、
$E_{前} = \frac{1}{2}\times2.0\times6.0^2 + \frac{1}{2}\times4.0\times0^2 = \frac{1}{2}\times2.0\times36 = 36 \text{ J}$
衝突後の運動エネルギーの合計は、
$E_{後} = \frac{1}{2}\times2.0\times0^2 + \frac{1}{2}\times4.0\times3.0^2 = \frac{1}{2}\times4.0\times9.0 = 18 \text{ J}$
失われた運動エネルギーは、
$E_{前} - E_{後} = 36 - 18 = 18 \text{ J}$
したがって、衝突によって18 Jの運動エネルギーが失われました。反発係数が $e<1$ の非弾性衝突では、このように力学的エネルギーの一部が熱や音などに変わって失われる、という点を確認しておきましょう。
問題5
長さ0.80 mの糸に軽いボールをつけて、鉛直面内で1周させる(垂直に円運動させる)ことを考えます。円の最高点でボールが落下せず、糸がたるまずに円運動を続けられるための最小の速さを求めなさい。$g=9.8$ m/s²とします。
解答・解説を見る
円の最高点では、ボールにはたらく力は重力(下向き、$mg$)と糸の張力(下向き、大きさ $S$)です(最高点では糸は鉛直方向を向いており、張力も下向きにはたらきます)。この2つの力の合計が、最高点での向心力(下向き、円の中心を向く向き)になります。
$mg + S = \frac{mv^2}{r}$
糸がたるまずに円運動を続けるための条件は、張力 $S\ge0$ です。$S$ が最小(ちょうど0)になるときが、円運動を保てる最小の速さの条件になります。$S=0$ とおくと、
$mg = \frac{mv^2}{r}$
両辺を $m$ で割ると、
$g = \frac{v^2}{r}$
$v^2 = gr = 9.8\times0.80 = 7.84$
$v = \sqrt{7.84} = 2.8 \text{ m/s}$
したがって、最高点で円運動を保つための最小の速さは2.8 m/sです。もしこれより遅い速さで最高点を通過しようとすると、必要な向心力を重力だけでまかないきれず(糸を押す力は出せないため)、ボールは円軌道からはずれて落下してしまいます。
問題6
ばね定数100 N/mのばねの一端を天井に固定し、他端に質量4.0 kgのおもりをつるして、鉛直方向に単振動させました。この振動の周期を求めなさい。また、おもりを鉛直につるしたことで、水平に置いた場合と比べて周期が変わるかどうかについても答えなさい。
解答・解説を見る
ばね振り子の角振動数の公式 $\omega=\sqrt{\dfrac{k}{m}}$ を使います。
$\omega = \sqrt{\frac{100}{4.0}} = \sqrt{25} = 5.0 \text{ rad/s}$
周期は、
$T = \frac{2\pi}{\omega} = \frac{2\pi}{5.0} \approx \frac{6.28}{5.0} \approx 1.3 \text{ s}$
したがって、周期は約1.3秒です。
鉛直につるした場合、重力によっておもりのつり合いの位置(振動の中心)は、ばねが自然長のときより下にずれます。しかし、周期の公式 $T=2\pi\sqrt{\dfrac{m}{k}}$ には重力加速度 $g$ が登場しません。これは、重力が単振動の「中心の位置」をずらすだけで、中心からの変位に対する復元力の大きさ(ばね定数 $k$ で決まる部分)には影響しないためです。したがって、水平に置いた場合と鉛直につるした場合とで、周期は変わりません。
問題7
ある惑星のまわりを、$GM=4.0\times10^{14}$ m³/s²(万有引力定数と中心天体の質量の積)、半径 $r=4.0\times10^6$ mの円軌道で回る人工衛星があります。この衛星の軌道速さを求めなさい。
解答・解説を見る
万有引力が向心力の役割を果たしているので、
$\frac{GMm}{r^2} = \frac{mv^2}{r}$
両辺を $m$ で割り、さらに両辺に $r$ を掛けると、
$\frac{GM}{r} = v^2$
数値を代入すると、
$v^2 = \frac{4.0\times10^{14}}{4.0\times10^6} = 1.0\times10^{8}$
$v = \sqrt{1.0\times10^{8}} = 1.0\times10^{4} \text{ m/s}$
したがって、この衛星の軌道速さは $1.0\times10^4$ m/s、つまり10 km/sです。
問題8
電車が水平方向に一定の加速度 $a=2.45$ m/s²で加速しています。電車の天井から糸でつるされたボールが、電車と一緒に加速度 $a$ で運動しながら、鉛直方向から角度 $\theta$ だけ傾いた状態で静止して見えました。$\tan\theta$ の値と、角度 $\theta$ のおよその大きさを求めなさい。$g=9.8$ m/s²とします。
解答・解説を見る
電車と一緒に動く観測者(非慣性系)の立場で考えます。この観測者から見ると、ボールには、重力(下向き、$mg$)、糸の張力(糸の向き、大きさ $S$)に加えて、電車の加速度 $a$ と逆向き(進行方向と逆向き)にはたらく慣性力(大きさ $ma$)がはたらいて見えます。ボールはこの観測者から見て静止して見えるので、これら3つの力がつり合っています。
鉛直方向のつり合いより、
$S\cos\theta = mg$
水平方向のつり合いより(慣性力と、張力の水平成分がつり合う)、
$S\sin\theta = ma$
上の式を下の式で割ると($S$ が消去できます)、
$\tan\theta = \frac{ma}{mg} = \frac{a}{g}$
数値を代入すると、
$\tan\theta = \frac{2.45}{9.8} = 0.25$
$\tan\theta=0.25$ となる角度は、およそ $\theta\approx14^\circ$ です。したがって、ボールをつるした糸は鉛直方向から約14°傾いた状態で静止して見えます。電車の外(地面)に立つ観測者から見れば、この傾きは、ボールが電車と同じ加速度で加速するために、張力の水平成分が必要になっていることを示しています。