物理 / 電気と磁気
電磁波
要点整理
電磁波とは何か
これまでの単元で、変化する電流のまわりには磁場ができ(電磁誘導の逆で、コイルに電流を流すこと自体は電流のまわりに磁場をつくります)、また変化する磁場のまわりには誘導起電力、つまり電場ができる(電磁誘導)ことを学んできました。
このことから、次のような現象が起こることが分かります。ある場所で電場が変化すると、その変化が原因となって、まわりの空間に磁場が生まれます。その磁場もまた変化しているので、さらにまわりの空間に電場が生まれます。こうして、電場の変化と磁場の変化が、たがいに相手を生み出しながら、空間を次々に伝わっていく現象が起こります。これが電磁波です。
電磁波には、次のような特徴があります。
- 電場 $E$ と磁場 $B$ は、たがいに直交(垂直)する向きに振動しています。
- 電場 $E$ と磁場 $B$ は、どちらも波の進行方向にも直交しています(このような波を横波と呼びます)。
- 電場 $E$ と磁場 $B$ は、同じタイミングで最大・最小・$0$ になります(同位相で振動しています)。
- 電磁波は、物質が何もない真空中でも伝わることができ、真空中では常に光速 $c=3.0\times10^8\,\text{m/s}$ で進みます。この速さは、電磁波の振動数によらず一定です。
波の基本式と電磁波
どんな波にも成り立つ、速さ・振動数・波長の関係
$c = f\lambda$
は、電磁波にもそのまま成り立ちます。ここで $c$ は電磁波の速さ(真空中では光速)、$f$ は振動数、$\lambda$ は波長です。真空中ではどんな電磁波でも $c$ の値は同じ($3.0\times10^8\,\text{m/s}$)なので、振動数 $f$ が大きい電磁波ほど、波長 $\lambda$ は反比例して小さくなります。
電磁波の種類(電磁波スペクトル)
電磁波は、波長(または振動数)によっていくつかの種類に分けられます。波長が長い(振動数が小さい)ものから順に並べると、おおよそ次のようになります。
| 種類 | 波長のめやす |
|---|---|
| 電波(放送・通信などに利用) | 数kmから数mm程度 |
| 赤外線 | 約1mmから約770nm程度 |
| 可視光線(人の目に見える光) | 約770nm(赤)から約380nm(紫)程度 |
| 紫外線 | 約380nmから約10nm程度 |
| X線 | 約10nmから約10pm程度 |
| $\gamma$(ガンマ)線 | X線よりもさらに波長が短い |
これらはすべて同じ電磁波であり、本質的な違いは波長(振動数)だけです。波長が短い(振動数が大きい)電磁波ほど、物質を透過する力やエネルギーが大きくなる傾向があり、X線が医療現場のレントゲン撮影に使われたり、紫外線が日焼けの原因になったりするのは、この性質と関係しています。
例題
例題1(基本)
問題 振動数 $f=80\,\text{MHz}$ のFMラジオの電波の波長を求めよ。ただし光速を $c=3.0\times10^8\,\text{m/s}$ とする。
解答・解説を見る
まず単位をそろえます。$80\,\text{MHz} = 80\times10^6\,\text{Hz} = 8.0\times10^7\,\text{Hz}$ です。
波の基本式 $c=f\lambda$ を、$\lambda$ について解きます。
$\lambda = \dfrac{c}{f} = \dfrac{3.0\times10^8}{8.0\times10^7}$
$= \dfrac{3.0}{8.0}\times10^{8-7} = 0.375\times10^1 = 3.75\,\text{m}$
答え: $\lambda = 3.75\,\text{m}$
例題2(標準)
問題 波長 $\lambda=600\,\text{nm}$ の可視光線(赤色に近い光)の振動数を求めよ。
解答・解説を見る
まず単位をそろえます。$1\,\text{nm}=10^{-9}\,\text{m}$ なので、$\lambda=600\times10^{-9}\,\text{m}=6.0\times10^{-7}\,\text{m}$ です。
波の基本式 $c=f\lambda$ を、$f$ について解きます。
$f = \dfrac{c}{\lambda} = \dfrac{3.0\times10^8}{6.0\times10^{-7}}$
$= \dfrac{3.0}{6.0}\times10^{8-(-7)} = 0.5\times10^{15} = 5.0\times10^{14}\,\text{Hz}$
答え: $f = 5.0\times10^{14}\,\text{Hz}$
例題3(応用)
問題 振動数 $f=3.0\times10^{18}\,\text{Hz}$ のX線がある。(1) このX線の波長を求め、それが表の中のどの範囲に収まっているか確認せよ。(2) 例題2の可視光線(振動数 $5.0\times10^{14}\,\text{Hz}$)と比べて、このX線の振動数は何倍か求めよ。
解答・解説を見る
(1) 波長を求める
$\lambda = \dfrac{c}{f} = \dfrac{3.0\times10^8}{3.0\times10^{18}} = 1.0\times10^{8-18} = 1.0\times10^{-10}\,\text{m}$
これは $0.10\,\text{nm}$($100\,\text{pm}$)に相当し、X線の波長のめやす(約10nmから約10pm程度)の範囲に収まっています。
(2) 振動数の比を求める
$\dfrac{3.0\times10^{18}}{5.0\times10^{14}} = \dfrac{3.0}{5.0}\times10^{18-14} = 0.6\times10^4 = 6.0\times10^3$
答え: (1) $\lambda=1.0\times10^{-10}\,\text{m}$、X線の範囲に収まる (2) 6000倍
練習問題
問題 電子レンジに使われるマイクロ波の振動数は $f=2.45\,\text{GHz}$ である。この電磁波の波長を求めよ。
答え
$2.45\,\text{GHz}=2.45\times10^9\,\text{Hz}$
$\lambda=\dfrac{c}{f}=\dfrac{3.0\times10^8}{2.45\times10^9}\approx0.12\,\text{m}$(約12cm)