物理 / 波動
レンズと鏡の像
要点整理
凸レンズ・凹レンズ・凹面鏡・凸面鏡は、どれも光を屈折・反射させて像をつくる道具です。ここでは、それぞれの像の作り方(作図のルール)と、像の位置・大きさを計算で求めるための共通の公式を学びます。
凸レンズの作図のルール
凸レンズは、光軸に平行な光を1点(焦点)に集めるレンズです。物体の先端から出る光のうち、次の3本(のうち2本あれば十分)を描けば、像の位置が求まります。
- 光軸に平行に入った光は、レンズを通ったあと、反対側の焦点を通る。
- レンズの中心を通った光は、そのまま直進する。
- 手前側の焦点を通ってレンズに入った光は、レンズを通ったあと、光軸に平行に進む。
物体が焦点より外側にあるときは、これらの光は反対側で実際に交わり、そこに実像ができます。物体が焦点より内側にあるときは、光は交わらずに広がっていきますが、その光を逆向きに延長すると物体と同じ側の1点で交わり、そこに虚像ができます。
凹レンズの作図のルール
凹レンズは、光軸に平行な光を広げるレンズです。
- 光軸に平行に入った光は、レンズを通ったあと、手前側の焦点から出てきたように広がる。
- レンズの中心を通った光は、そのまま直進する。
凹レンズでは、光は必ず広がる方向に屈折するため、実際に光が集まることはありません。したがって、物体の位置によらず、常に物体と同じ側に、小さく正立(上下・左右が物体と同じ向き)の虚像ができます。
凹面鏡・凸面鏡の作図のルール
球面鏡でも、考え方はレンズと同じです。凹面鏡(内側が鏡になっている、光を集める鏡)では、
- 光軸に平行な光は、反射したあと焦点を通る。
- 焦点を通ってきた光は、反射したあと光軸に平行に進む。
- 球面の中心(曲率中心)を通る光は、鏡面に垂直に当たるため、反射後も同じ道すじを逆向きに戻る。
凸面鏡(外側が鏡になっている、光を広げる鏡)では、光は反射すると広がる方向に進み、その光を鏡の裏側まで逆向きに延長した点に焦点があるとみなします。凸面鏡は、物体の位置によらず常に小さく正立の虚像をつくります。
レンズ・球面鏡の公式
物体からレンズ(または鏡)までの距離を $a$、像までの距離を $b$、焦点距離を $f$ とすると、凸レンズ・凹レンズ・凹面鏡・凸面鏡のすべてに共通して、次の式が成り立ちます。
$\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f}$
また、物体の高さに対する像の高さの比(倍率)は、
$m = \left|\frac{b}{a}\right|$
で求められます。この2つの式を使うときの符号のルールは、次の通りです。
| $f$ の符号 | $b>0$ のとき | $b<0$ のとき | |
|---|---|---|---|
| 凸レンズ・凹面鏡(光を集める) | $f>0$ | 実像 | 虚像 |
| 凹レンズ・凸面鏡(光を広げる) | $f<0$ | (通常は起こらない) | 虚像 |
ここで注意したいのは、実像ができる場所が、レンズと鏡で違うということです。
- レンズ:実像($b>0$)は物体と反対側(光が通り抜けた先)にでき、虚像($b<0$)は物体と同じ側にできます。
- 鏡:実像($b>0$)は物体と同じ側(鏡の前方、反射した光が集まる側)にでき、虚像($b<0$)は鏡の裏側にできます。
また、$b>0$(実像)のときは像は上下逆さま(倒立)になり、$b<0$(虚像)のときは像は物体と同じ向き(正立)になります。
凸レンズでの3つの場合
凸レンズで物体の位置 $a$ を変えていくと、できる像は次の3つのパターンに分かれます(焦点距離を $f$ とします)。
- $a>2f$(焦点距離の2倍より遠い):実像・倒立・縮小($f
- $f拡大($b>2f$ の位置にできる)
- $a
拡大(物体と同じ側にできる、いわゆる虫眼鏡の使い方)
下のシミュレーションで、物体までの距離 $a$ と焦点距離 $f$ を変えながら、凸レンズによる像の位置と大きさがどう変わるか確認してみましょう。赤とみどりの線が光線(反対側で交われば実像、交わらず破線で延長した先で交われば虚像)、紫の矢印が像です。
例題
例題1(基本)
問題
焦点距離 $f=10\ \mathrm{cm}$ の凸レンズから $30\ \mathrm{cm}$ の距離に物体を置いた。像の位置と倍率を求め、実像・虚像、正立・倒立を答えよ。
解答・解説を見る
レンズの公式 $\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}=\dfrac{1}{f}$ に $a=30$、$f=10$ を代入します。
$\frac{1}{30}+\frac{1}{b} = \frac{1}{10}$
$\dfrac{1}{b}$ について解くと、
$\frac{1}{b} = \frac{1}{10}-\frac{1}{30} = \frac{3}{30}-\frac{1}{30} = \frac{2}{30} = \frac{1}{15}$
$b = 15\ \mathrm{cm}$
倍率は、
$m = \left|\frac{b}{a}\right| = \frac{15}{30} = 0.5$
$b>0$ なので実像、実像は倒立です。
答え:レンズから $15\ \mathrm{cm}$ の位置(反対側)に、実像・倒立・$0.5$倍(縮小)の像ができる
例題2(標準)
問題
焦点距離 $f=12\ \mathrm{cm}$ の凸レンズから $8\ \mathrm{cm}$ の距離(焦点の内側)に物体を置いた。像の位置と倍率を求め、実像・虚像、正立・倒立を答えよ。
解答・解説を見る
$\frac{1}{8}+\frac{1}{b} = \frac{1}{12}$
$\frac{1}{b} = \frac{1}{12}-\frac{1}{8} = \frac{2}{24}-\frac{3}{24} = -\frac{1}{24}$
$b = -24\ \mathrm{cm}$
倍率は、
$m = \left|\frac{-24}{8}\right| = 3$
$b<0$ なので虚像、虚像は正立です。
答え:物体と同じ側、レンズから $24\ \mathrm{cm}$ の位置に、虚像・正立・$3$倍(拡大)の像ができる(虫眼鏡と同じ使い方)
例題3(応用)
問題
焦点距離の大きさが $15\ \mathrm{cm}$ の凹レンズ(公式では $f=-15\ \mathrm{cm}$ として扱う)から $30\ \mathrm{cm}$ の距離に物体を置いた。像の位置と倍率を求めよ。
解答・解説を見る
凹レンズなので $f=-15\ \mathrm{cm}$ として公式に代入します。
$\frac{1}{30}+\frac{1}{b} = \frac{1}{-15} = -\frac{1}{15}$
$\frac{1}{b} = -\frac{1}{15}-\frac{1}{30} = -\frac{2}{30}-\frac{1}{30} = -\frac{3}{30} = -\frac{1}{10}$
$b = -10\ \mathrm{cm}$
倍率は、
$m = \left|\frac{-10}{30}\right| = \frac{1}{3} \approx 0.33$
$b<0$ なので虚像・正立です。
答え:物体と同じ側、レンズから $10\ \mathrm{cm}$ の位置に、虚像・正立・約$0.33$倍(縮小)の像ができる。凹レンズは物体の位置によらず、常にこのタイプの像になる。
練習問題
問題
焦点距離 $f=20\ \mathrm{cm}$ の凹面鏡から $50\ \mathrm{cm}$ の距離に物体を置いた。像の位置と倍率を求め、実像・虚像を答えよ。
答え
$\dfrac{1}{50}+\dfrac{1}{b}=\dfrac{1}{20}$ より $\dfrac{1}{b}=\dfrac{5}{100}-\dfrac{2}{100}=\dfrac{3}{100}$、$b=\dfrac{100}{3}\approx33.3\ \mathrm{cm}$。
倍率 $m=\left|\dfrac{33.3}{50}\right|\approx0.67$。$b>0$ なので実像(鏡の前方、物体と同じ側にできる)。