物理 / 波動

よくある間違い

間違い1: 正弦波の式で $x$ の符号を間違える

よくある誤答例

$+x$ 方向に進む波を、$y=A\sin\left(2\pi\left(\dfrac{t}{T}+\dfrac{x}{\lambda}\right)\right)$ のように、$\dfrac{x}{\lambda}$ の符号をプラスにして書いてしまう。

なぜ間違いなのか

$+x$ 方向に進む波は、位置 $x$ の点の振動が、原点の振動よりも「時間的に遅れて」やってくるはずです。符号をプラスにしてしまうと、逆に位置 $x$ の点の方が原点より先に振動する式になってしまい、$-x$ 方向に進む波になってしまいます。

正しい考え方

$+x$ 方向に進む波は $y=A\sin\left(2\pi\left(\dfrac{t}{T}-\dfrac{x}{\lambda}\right)\right)$($x$の項がマイナス)、$-x$ 方向に進む波は $y=A\sin\left(2\pi\left(\dfrac{t}{T}+\dfrac{x}{\lambda}\right)\right)$($x$の項がプラス)と覚えましょう。迷ったら、「進む向きと同じ側の $x$ が大きいほど、振動が遅れる(位相がマイナス方向にずれる)」と考え直すと確認できます。

間違い2: 定常波の節と節の間隔を波長 $\lambda$ だと思い込む

よくある誤答例

定常波の隣り合う節の間隔を、そのまま波長 $\lambda$ と同じだと答えてしまう。

なぜ間違いなのか

定常波の節は $x=\dfrac{\lambda}{4}+n\dfrac{\lambda}{2}$ の位置にできます。$n$ を1つ増やすごとに $x$ は $\dfrac{\lambda}{2}$ だけ増えるので、隣り合う節の間隔は $\dfrac{\lambda}{2}$ であり、$\lambda$ そのものではありません。

正しい考え方

定常波では、節と節の間隔も、腹と腹の間隔も、どちらも成分波の波長の半分($\dfrac{\lambda}{2}$)になります。節から、それに隣り合う腹までの間隔は、さらにその半分の $\dfrac{\lambda}{4}$ です。図をかいて、山と谷が半波長ごとに入れ替わる様子をイメージすると覚えやすくなります。

間違い3: 干渉の強め合う条件・弱め合う条件を逆にする

よくある誤答例

経路差が波長の整数倍のときに「弱め合う」、半波長ずれているときに「強め合う」と、条件を逆に覚えてしまう。

なぜ間違いなのか

経路差がちょうど波長の整数倍($m\lambda$)のとき、2つの波は同じタイミングで山(または谷)を迎えるため、変位が足し合わされて強め合います。経路差が半波長ずれている($\left(m+\frac12\right)\lambda$)ときは、一方が山のときもう一方が谷になるため、変位が打ち消し合って弱め合います。

正しい考え方

「経路差がぴったり波長の整数倍 → ぴったり同じタイミングで重なる → 強め合う」という、経路差が0(波源が同じ場所にある場合と同じ)のときのイメージから出発して考えると、整数倍が強め合う条件だと自然に思い出せます。

間違い4: 屈折角を求めるときに $\sin$ を取らずに角度をそのまま比例計算する

よくある誤答例

スネルの法則を $n_1\theta_1=n_2\theta_2$ のように、角度をそのまま比例させる式だと勘違いして計算してしまう。

なぜ間違いなのか

スネルの法則は、角度そのものではなく、角度の**正弦($\sin$)**の間に成り立つ関係です。角度と $\sin$ の値は比例していない(たとえば $\sin30°=0.5$ だが $\sin60°=0.87$ であり、$2$倍にはならない)ため、角度を直接比例計算すると答えが大きくずれます。

正しい考え方

必ず $n_1\sin\theta_1=n_2\sin\theta_2$ の形で、両方の角度に $\sin$ をつけてから計算しましょう。最後に $\theta_2$ を求めるときも、$\sin\theta_2$ の値を出してから $\sin^{-1}$(アークサイン)を取る、という2段階の手順を踏む必要があります。

間違い5: 屈折率が大きいほど光が「速く」進むと誤解する

よくある誤答例

「屈折率が大きい物質ほど、光がよく通るから速く進む」と考えてしまう。

なぜ間違いなのか

屈折率は $n=\dfrac{c}{v}$($c$:真空中の光の速さ、$v$:その物質中の光の速さ)で定義されています。$n$ が大きいということは、割り算の結果が大きいということなので、$v$(物質中の速さ)は小さくなります。つまり屈折率が大きい物質ほど、光の速さは遅くなります。

正しい考え方

「密な物質ほど光が進みにくく、遅くなる」とイメージすると覚えやすいです。屈折率が大きい物質に入るときは、光は遅くなる分だけ、境界面で法線に近づく向きに曲がります。

間違い6: 臨界角の式で $n_1$ と $n_2$ を逆にする

よくある誤答例

臨界角の式を $\sin\theta_c=\dfrac{n_1}{n_2}$ のように、分子と分母を逆にして覚えてしまう。

なぜ間違いなのか

臨界角は、屈折率の大きい媒質($n_1$)から屈折率の小さい媒質($n_2$)へ光が進むときにだけ考える角度です。$n_1>n_2$ なので、$\dfrac{n_1}{n_2}$ は $1$ より大きくなってしまい、$\sin\theta_c$ の値として使うことができません($\sin$ の値は $1$ を超えられません)。

正しい考え方

$\sin\theta_c=\dfrac{n_2}{n_1}$($n_1$が密な方、$n_2$が疎な方)と覚え、計算結果が必ず $1$ 以下になることを確認する習慣をつけましょう。もし計算結果が $1$ を超えてしまったら、$n_1$ と $n_2$ を逆に使っている可能性が高いです。

間違い7: レンズの公式で、実像・虚像のときの $b$ の符号を逆に取る

よくある誤答例

計算で $b<0$ が出たにもかかわらず、実像として扱ってしまう(またはその逆)。

なぜ間違いなのか

レンズの公式の符号のルールでは、$b>0$ が実像、$b<0$ が虚像に対応します。この対応を逆に覚えてしまうと、実像・虚像の判定だけでなく、像が物体と同じ側にできるのか反対側にできるのかの判断まで、すべて逆になってしまいます。

正しい考え方

計算結果の $b$ の符号を出したら、必ず「$b>0$なら実像(レンズでは物体と反対側)」「$b<0$なら虚像(レンズでは物体と同じ側)」という対応を確認してから答えを書く習慣をつけましょう。凹レンズは公式に $f<0$ を代入するため、計算結果の $b$ は物体の位置によらず常に負になります(常に虚像になる)。

間違い8: ヤングの実験の干渉縞の間隔の式で、$d$ と $\lambda$ の役割を逆にする

よくある誤答例

干渉縞の間隔を $\Delta x=\dfrac{Ld}{\lambda}$ のように、$d$(スリット間隔)と $\lambda$(波長)を逆にした式で計算してしまう。

なぜ間違いなのか

正しい式は $\Delta x=\dfrac{L\lambda}{d}$ です。スリット間隔 $d$ を大きくすると、同じ経路差を生み出すために必要な $x$ の変化が小さくて済むようになるため、縞は狭くなります($d$は分母)。逆に波長 $\lambda$ が大きいほど、縞は広くなります($\lambda$は分子)。この式で $d$ と $\lambda$ を入れ替えてしまうと、この関係が真逆になってしまいます。

正しい考え方

「スリット間隔を広げると縞は狭くなる」「波長が長いほど縞は広くなる」という2つの事実を覚えておき、式を書いたあとにこの関係と矛盾していないか($d$が分母、$\lambda$が分子になっているか)を確認しましょう。